製造業受注(Manufacturers' Shipments, Inventories and Orders)は、製造業の活況度を知る上で極めて重要な指標です。
GDPと同じく米商務省が集計し、基本的に翌月の第4週目に耐久財のみの速報値が、その翌週に非耐久財を含めた製造業全体の数字が発表されます。
日本語では「製造業受注」と訳されることが多いですが、実際には受注に加え、出荷や在庫の変化などの数字も発表されます。
新規の受注は景気の先行指標として注目を集めることが多いデータです。
名称 | 製造業受注 Manufacturers' Shipments, Inventories and Orders |
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発表機関 | 商務省(Department of Commerce) |
発表時期 | 速報値(耐久財):対象月の翌月第4週 製造業全体:速報値発表の翌週 |
概要 | 新規受注、出荷、受注残、在庫など。製造業の景況感を示す指標 |
特徴 | 製造業の活況から経済の動向を計る先行指標 |
速報で発表される、耐久財の受注について細かくみていくことにします。
「耐久財(Durable goods)」は、その製品の耐久期間が3年以上と定められています。つまり買ってすぐに消費してしまうものではありません。
個人レベルで言えば電化製品(Appliances)や家具(Furniture)、自動車(Automobiles)などが挙げられますし、工場で使われる機械なども当然ながら使用期間が長いので耐久財にあたります。 なお、工場の機械などそれを直接消費するのが目的ではなく、何か別のモノやサービスを作り出すための手段として使用されるものは、耐久財の中でも「資本財(Capital Goods)」に分類されます。
耐久財は家庭で使う電化製品から航空機まで対象が広いです。その中の運輸機器(Transportation)は航空機が含まれるために金額も大きく、まとまった受注があると全体を大きく押し上げる要因になってしまいます。 また、防衛関連(Defense)は政府予算です。つまり民間の景気動向を正確に反映しているわけではありません。そのため、耐久財の受注を見る際には全体の増減だけでなく、この2つの項目を除いた数字も同時に見る必要があります。
また資本財の受注、特に防衛を除いた資本財(Non-defense Capital Goods)やそこからさらに航空機を除いた資本財の受注は、企業の設備投資の活況度を反映するとされており、市場の注目度も高くなっています。
耐久財の受注が発表された1週間後に、非耐久財の受注を加えた製造業全体の受注が発表されます。 ですが多くを占める耐久財の数字が既に出ているため、全体の数字に注目が集まることはありません。 それでも非耐久財の受注が事前予想と比べてどうだったか、耐久財の受注にどの程度の修正が見られたのかは、しっかりと押さえておく必要があるでしょう。
この製造業受注の発表時には、受注(New Orders)以外のデータも同時に発表されます。 出荷(Shipments)、未完受注 (Unfilled Orders)、在庫(Inventories)などがこれにあたります。 景気の先行性ではやはり受注を見るのが主ですが、受注された製品が出荷されなければ未完受注が増えますし、 在庫の増減も景気のサイクルを把握するうえでは欠かせないデータです。 特に出荷はGDPの算出に使われますから、GDPを事前に予測するためには、この数字を見ておく必要があるでしょう。 出荷の数字を使ってGDPを予想する過程は複雑ですし、それは専門家に任せれば良いですが、我々も大体のところを把握しておいた方が良い内容です。