消費者景況感指数(CCI)

企業の景況感を表す指標としてPMIがあるように、消費者の景況感指数を表す指標があります。 代表的なものは、民間のシンクタンクであるカンファレンス・ボード(Conference Board)が発表する「消費者信頼感指数(Consumer Confidence)」と、 ミシガン大学の調査チームとロイターが共同で発表している「消費者指数(Survey of Consumers)」です。

どちらの指標も、現在の経済状況(現在指数)と6ヶ月後の状況(期待指数)について質問を行い、その回答をまとめて指数化しています。 メディアのヘッドラインに流れる総合指数は、現状指数と期待指数の両方を総合して算出されます。

消費者景況感指数は企業の景況感指数よりも数字にバラつきが大きく、その時々の経済状況により大きく左右される傾向が強いと思います。 結局のところは株価の影響が大きく、調査が行われた時点で株が上昇していれば、強めの数字が出る場合が多いということができるでしょう。

名称消費者信頼感指数(The Consumer Confidence Survey)
発表機関カンファレンス・ボード(Conference Board)
発表時期毎月最終火曜日
概要現在と6ヶ月後の景気の見通しについてアンケートで調査して指数化した経済指標
特徴雇用視点や家計状況に関する景況感
消費者信頼感指数 (Consumer Confidence Index, CCI)

消費者信頼感指数は、雇用の先行きについての調査が充実

カンファレンス・ボードが発表する消費者信頼感指数は毎月最終火曜日に、その月の調査結果が発表されます。 内容は「総合指数」、「現状指数(Present Situation Index)」、「期待指数(Expectations Index)」の3種類です。

1985年を100としてそれに比べて良くなったのか悪くなったのかが指数化されています。 ウェブサイトでは指数だけではなく、質問項目について良いと答えた人と悪いと答えた人の割合がどの程度だったのかも詳しく見ることができます。

現状指数に関する質問項目は、現在のビジネス状況が良いのか悪いのか、現在仕事は十分にあるのか、仕事を見つけるのに苦労しているのかの2点。 期待指数に関する質問項目は、ビジネス状況が6ヶ月後に良くなるのか悪くなるのか、今後求人は増えるのか減るのか、収入は増えるのか減るのかの3点について。 それぞれ何パーセントの人が前向きな回答を行い、何パーセントが後ろ向きな回答を行ったのかが記されています。

このほかにも現在の家計の経済状況が良いのか悪いのか、6ヶ月後に良くなるのか悪くなるのかといった質問や、12ヶ月後に米国経済がリセッションに陥ると思うかどうかについての質問への回答状況も発表されています。

ミシガン大消費者指数 (University of Michigan Consumer Sentiment Index)

ミシガン大消費者指数は、インフレ見通しも発表される

ミシガン大学の調査チームとロイターが共同で算出している消費者指数は、毎月半ばと月末金曜日に発表されます。 調査は電話によりアンケートで行われ、カンファレンスボードの消費者信頼感指数よりも集計が早いのが特徴です。 消費者信頼感指数同様に総合指数のほか、現状指数、6ヶ月後の見通しについても期待指数が発表されます。

消費者信頼感指数が雇用に重点を置いた質問が多いのに対し、ミシガン大の消費者指数はインフレ見通しに対する質問があるのが特徴です。 1年後と5年後のそれぞれについて、価格が今から上昇するか/横ばいか/低下するのかの見通しを集計し、指数化します。

FRBが金融政策を決定する際、市場のインフレ期待は非常に重要な検討項目になりますが、このインフレ見通しを図る手段はそれほど多くないというのが実際のところです。ミシガン大消費者指数のインフレ見通しは、市場のインフレ期待を推測する数少ない指標の一つといて注目度は高いのです。

とはいえ、一般の消費者へのアンケート調査ですから、回答者はそれほど深く考えることなしに、インフレ見通しを述べている可能性が高いのも確かです。 先に、消費者の景況感指数は足元の株価の動向に影響される部分が大きいと書きましたが、 インフレ見通しも意外に単純で、足元のガソリン価格の変動に影響されることが多いと言われています。価格に関する調査項目にはガソリン価格の動向のほか、現在住んでいる地域の住宅価格が今後上昇するのか下落するのかなども含まれています。 その他の項目もありますが、このように多くの調査項目の回答を基に算出されていることは念頭に入れておいた方が良いでしょう。