労働生産性(labor-productivity)

労働生産性は米労働省が発表する経済指標で、経済の効率性を見る上で欠かすことのできない指標です。 四半期毎の発表で、翌々週の第一週に「速報値」が、その次の月の第一週に「改定値」が発表されます。

労働生産性は、労働者1人あたりが単位時間にどの程度の生産を行うことができたのかを指数化したものです。 前期から年率で何パーセント上昇、低下したのかという形で表します。

労働生産性は「生産量そのもの」、「労働者1人あたりに企業が支払った雇用コスト」、「労働時間」という3つの要素によって決定されます。 生産性が上昇すれば、それだけ経済が効率よく回っていることを表します。 一方、企業の経営に無駄が多くなって効率が低下すれば、生産性も低下します。

基本的には生産性が上がった・下がっただけを見ておけば良いのですが、生産性が上がった場合でも、その要因が主に生産の増加によるものなのか、労働コストの低下や 労働時間の減少によるものなのかは把握しておいた方が良いと思います。

米国労働統計局(Bureau of Labor Statistics, BLS)
名称労働生産性(Labor Productivity)
発表機関労働省(Department of Labor)
発表時期四半期毎
速報値:翌々週の第一週
改定値:速報値の翌月の第一週
概要労働者1人あたりが、単位時間にどの程度の生産を行うことができたかを指数化
特徴一般的に景気拡大期には上昇し、企業業績の拡大や賃金の上昇圧力からの個人消費の拡大につながると見られている

労働生産性の低下は、FRBが最も警戒するシナリオの1つ

労働生産性は発表が四半期毎で毎月ではないのに加え、発表のタイミングもやや遅めということもあり、市場の注目度はそれほど高くはありません。 ですが、この先経済がしっかりと成長していくのかを見る上で非常に重要なものと言えます。

なぜなら基本的に労働生産性は、技術革新や企業の経営努力によって毎年それなりに上昇していくものです。にもかかわらず生産性が思ったほど上昇しない、 あるいは低下するときというのは、何らかの問題で経済の効率が落ちていることを意味します。米国の金融政策を決定するFRBも、労働生産性には注目しています。 生産性低下が続くときは、FRBも景気の先行きに対する警戒感を強めます。そのため、その結果として金融緩和などの景気支援策を検討する可能性が高くなることも考えられます。

労働生産性は力強い上昇が見られている時よりも、生産性が低下し景気悪化の恐れが高くなったときに、市場で材料視されることが多いと言えるかも知れません。